今年の10月は秋らしくなく、残暑の厳しい10月となりました。
秋といえば「紅葉」なのですが、何せ気温が高いのでまだ紅葉には早く、ちょっと季節感がズレてしまいました。
そのため、今年は紅葉を見に八幡平にいったのですが、残念ながら美しい紅葉は見れませんでした。
その代わりに、かつて「雲上の楽園」と言われた松尾鉱山の資料館に行きました。
かつての松尾鉱山は硫黄が取れ、一時は東洋一の硫黄鉱山と言われるほど。
硫黄は医薬品、合成繊維、農薬にと、様々な工業品の原材料となるので、現代はもちろん、高度成長期の日本には欠かせない存在でした。
そのため、かつてこの一帯はかなり栄えていたようで、標高1,000mのこの地に1万人超の人々が暮らし、当時としては最先端の水洗トイレやスチーム暖房を完備した社員寮を建設するなど、まさにバブルでした。
さらには住宅・病院・売店・学校・郵便局・銀行・娯楽施設が周りに建設され、岩手の軍艦島のような感じだったみたいです。
特に、1500人収容できる娯楽施設「老松会館」では、映画の上映や人気歌手の公演などが開かれ、待遇がとてもよかったため、東京よりも優先的に人気歌手が八幡平の地にやってきた、なんてこともあったようです。
そのことから「雲上の楽園」とさえ呼ばれていました。
しかし、驕るものは久しからず。
法律の改正で石油精製時に抽出できる安価な「回収硫黄」が出回ると価格競争に巻き込まれ、坂を降るように経営不振に陥り、惜しまれながらも1972年に閉山となりました。
「未来永劫として雲上の楽園がなくならない」と思いこんでいた労働者の人々が受けたショックは計り知れなかったことと思います。
そればかりか、負の遺産が今でも残されているのです。
廃山となった松尾鉱山から流れ出る坑廃水が北上川を汚染しており、一昔前は北上川が真っ赤に染まってしまいました。
引用:https://www.jogmec.go.jp/publish/plus_vol07.html
しかし、すでに運営会社が倒産し、責任者は不在。致し方なく、岩手県は汚染水の中和処理施設を建設。
総建設費は469億円、年間の維持管理費用は6億〜7億円で、この維持管理費用は現在も岩手県が負担しております。つまり、岩手県民の血税で賄われているのです。
かつて 栄華を極めた人々のツケを未来永劫として支払い続けなければいけないというのは、岩手県民からすると残酷な話です。このことを知れたというのが、10月の大きな収穫です。
もっと詳しく知りたい方はリンクの記事をどうぞ。
https://www.risktaisaku.com/articles/-/14878
その他の出来事といえば、例年買い替えているiPhoneがようやく届いたので、その手続きに携帯ショップに行きました。
こちらも私の中では秋の風物詩です。
ということで、11月こそ紅葉を見に行きたいと思います。