私は絵を描いたり、または他の事務的な作業をする時にBGMとして音楽をかけるのですが、最近「いいな」と思っているアーティストがいますので、今回ランキングにしてみたいと思います。
そのアーティストさんは「ヨルシカ」さんです。
どこかレトロな感じで聴きやすくシンプルなロック調のメロディーに、文学的な歌詞が合わさり、とても美しい作品が多いです。ミュージックビデオも、本当にひとつの作品という感じで、芸術性が高いです。そして「ヨルシカ」の世界観が、歌手の「suis」さんの透明感のある歌声と相性が抜群で、耳が幸せになります。
「ヨルシカ」について 名前の由来・作品の考察など
「ヨルシカ」は「n-buna」(ナブナ)さんという男性と「suis」(スイ)さんという女性の2人組バンド。
「n-buna」さんは、元々はボカロPとして活躍していたのですが、知人の紹介により2017年に「suis」さんを迎え「ヨルシカ」というバンドを結成したそう。
作詞・作曲、・曲は「n-buna」さんが、ボーカルは「suis」さんが担当しています。
ちなみに、「ヨルシカ」というバンド名は、「雲と幽霊」という曲の「夜しか眠れない」というフレーズが気に入ってバンド名にしたと記事にありました。
※参考:https://natalie.mu/music/pp/yorushika/page/2
「n-buna」さんは文学が好きで、よく文学作品をオマージュした作品をつくっています。
※参考:https://styleyich.com/yorushika-hommage/
「作者が作品より前に出ないようにしたい」と顔出ししていないヨルシカですが、そういった文学作品を通して作品へのリスペクトというか、「アイドル」たちに席巻された日本のミュージックシーンへのアンチテーゼなのではないかなとも思います。
ということでその中でも、私が特に大好きな曲をランキングにしました!
完全に私の主観で私の趣味が全開ですので、そこら辺はご了承いただけたらと思います。笑
ちなみに初期の方の曲は「だから音楽を辞めた」と「エルマ」の2つのアルバムからなるひとつの作品で、エイミーという青年とエルマという女性の物語を曲にしたものらしいです。文脈がわからないなという歌詞も、1曲1曲が作品の一部と思えば辻褄が合います。
※参考:https://refining-process.hatenablog.com/entry/2019/09/13/034217
完全私的「ヨルシカ」楽曲ランキング
第10位 準透明人間
ヨルシカのMVの特徴でもありますが、現実と非現実の中間というか、写真とイラストの中間というか、そういうのがミックスしている世界観が好きです。
第9位 藍二乗
こちらもギターの音がいいですね。あとベースがかっこいいです。
切ない歌詞ですが、映像とメロディーと歌声は爽やかで、そのギャップがなお作品を引き立ててくれています。
第8位 雲と幽霊
これまでの曲と違い、比較的穏やかな曲ですが、こちらも初夏を感じさせるスッキリとした曲です。
「ヨルシカ」のユニット名にもなっている「夜しか眠れずに」という歌詞が登場します。
それにしても、どこかのインタビュー記事にもありましたが、「suis」さんの声はどんな曲調にもマッチして、というか「ヨルシカ」の作品の世界観にピッタリなのです。
名曲「言って。」という曲のアンサーソングになります。
第7位 嘘月
「泣きたい私は猫をかぶる」というネットフリックスオリジナル映画のエンディングソングソングです。
メロディーはもちろん、歌詞の表現が独特で美しいです。
「バケツ一杯の月光を呑んでる」「涙が宝石で出来てたんだ」「何もない部屋で春になった」
この曲にも様々な考察があるみたいですが、純粋に歌詞が綺麗だなと感じました。
第6位 パレード
静かな曲ですが、メッセージ性の強い曲です。
特に好きなのは「一人ぼっちのパレードを」の部分です。
解説の人が言っておりましたが、「誰かの為じゃない自分の為だけの創作」という意味があるようです。
私もいち創作者として、作者の気持ちに共感できるところが多々あります。
第5位 アルジャーノン
「アルジャーノンに花束を」という小説をモチーフにした曲なのかなと捉えることができました。
こちらは特にとても感動したので、長文になるかもですが少し解説したいと思います。
「アルジャーノンに花束を」という物語のあらすじを簡単に説明すると、知的障害を持つ心優しい少年チャーリィが主人公。ある時、とある教授が研究していた知的能力を向上させる脳外科手術を受けることに。その手術を先に受けた白ねずみのアルジャーノンは驚くべき知能を得て、迷路のテストでは人間のチャーリーを圧倒。それをきっかけに「僕も賢くなりたい」と手術を受けるチャーリイ。
自分の知能が上がれば、もっとみんなと仲良くなって幸せになれると信じていたチャーリィですが、結果は反対。知らなければ幸せで済んだことも知ってしまい、それが悩みの種になってしまいます。
さらに追い討ちをかけるように、脳手術を受けたネズミのアルジャーノンの知能が急に低下し、やがて亡くなってしまった。彼は自分自身の知能でもって、アルジャーノンと同じ道を自分も辿ることを悟ります。
というのが大まかなあらすじなのですが、この小説の内容をもって歌詞の考察です。
以下、考察されている方からの引用です。
ヨルシカの『アルジャーノン』には、ゆっくりとした時間の経過を示す描写がいくつか登場します。
「風に流れる雲」「少しずつ膨らむパン」「育っていく大きな木」「あくびを一つ」etc…
さらには歌詞中に全部で12回出てくる「ゆっくり」という言葉。
明らかに「ゆっくり」という部分を強調したい歌詞構成となっています。
これは『アルジャーノンに花束を』に当てはまるなら、一時的な知能を手にしたチャーリイとアルジャーノンとの対比と受け止めることができます。
彼らは一時的な知能を手にした反面周囲との折衝を繰り返し(あらすじでは省きましたが、ネズミのアルジャーノンもその高すぎる知能が理由で仲間から阻害されていました)、前以下の知能になり、その果てに死が待っていた。
それはある種才能を手にして生き「急いだ」象徴とも捉えることができます。
人並み以上の知性を得て、それゆえに苦しみ、自分の死を受け入れて晩年を過ごしたチャーリイとアルジャーノン。
その姿と照らせば、決して能力はなくても(仮に人並み以下でも)、ゆっくりと必死に一歩一歩もがき、それでも希望を失わない姿こそかっこいい。
そんな視点が『アルジャーノン』という曲には流れている気がするのです。引用:https://note.com/toru1002/n/n3e32127c4c7e
人並み以上の知能、才能を手にしても「幸せ」になれるとは限らない。
私も画家として「ゆっくりと必死に一歩一歩もがき」生きていきたいと思います。
第4位 さよならモルテン
子どもにだけ持っている能力があるような気がします。
子どもにだけトトロが見えるみたいな特殊な能力。
でも悲しいかな、人は誰しも大人になっていく。心がピュアなままではいられない。
空を飛べないことを知ってしまった。
君もいつまでも「ガチョウのモルテン」と一緒にはいられない。
別な考察もあるみたいですが、ここはあえて私が感じたままの感想を書きました。
第3位 雨とカプチーノ
単純にこの曲はメロディーが好みです。
似たような曲が思いつかないほど、独創的で美しいメロディーラインだと思います。
そして、いつものように歌詞が文学的…。
「夏泳いだ花の白さ、宵の雨」の歌詞は、正岡子規の俳句「水草の 花の白さよ 宵の雨」からの引用とも言われています。
引用:https://ticketjam.jp/magazine/music/japan-rock/40762
文学にも精通したn-bunaさんだからこそかける歌詞でもあると思います。
第2位 言って。
「ヨルシカ」屈指の名曲です。
曲調はいつものヨルシカというような澄んだメロディーで、レモンスカッシュのような爽やかで炭酸の刺激のあるようなロック調です。
でもどこか寂しげな雰囲気をこの曲に感じるのは、「帰らぬ人」となった人に向けて歌った曲であるからだと思います。
何をもっと「言って」欲しかったかというと、
私もうっすら気づいていることだけれど、もっとはっきり言ってくれれば、君を死なせずにいられたかもしれない。その後悔と嘆きでこの曲は溢れている。
引用:https://note.com/nyanpoo_sensei/n/n09b8f51c9bc8
と解説してくれています。
この曲で「ヨルシカ」が世間に知れ渡った感もあるので、ぜひ一度は試聴してみてください。
どうでもいい情報ですが、レモンスカッシュなら黒いパッケージに白の水玉模様が特徴の不二家のが好きです。
引用:https://www.fujiya-peko.co.jp/sweets/item/25099.htm
第1位 花に亡霊
もう「花に亡霊」というタイトルからして名曲確定です。
ピアノが美しい曲です。
日本の田舎の夏の良さ。そんな情景が浮かぶこの曲が大好きです。
こちらも「泣きたい私は猫をかぶる」というネットフリックスオリジナル映画のオープニング曲となっております。
そしてこちらも歌詞が文学的で美しい。以下解説してくれている人の引用です。
「もう忘れてしまったかな」という一文からはじまる『花に亡霊』。
歌詞の最初の言葉にして、楽曲全体を支配している切ない悲愴感を見事に演出しきっています。
続いて聴こえてくる「氷菓」という日本語らしいキーワードからは、まるで文学作品のように格調高い風景が夏の香りと共に浮かび上がってきますね。
引用:https://utaten.com/specialArticle/index/5035
「夏が来る」と教えてくれていたのはいつの時も「二人」のうちのもうひとり、「君」であったのでしょうか。
そんな存在も、今となっては思い描くだけの「亡霊」になってしまった。
聴き手にはっきりと提示される悲しく切ない事実に、思わずはっと息を飲んでしまいそうです。
ストレートな「別れ」という言葉を用いなくとも、そこにはあるのは明らかな決別の余韻。
巧みな日本語遣いにより聴き手のイメージを最大限に刺激してメッセージを伝える手法が、ヨルシカならではの文学的な香りを独自のものにしています。
「浅い呼吸」をして「汗を拭って夏めく」という情景からは、どこか孤独で寂しげな「僕」の姿が浮かび上がってきます。
毎年必ずやってくる夏。あの時と違うのは、今は自分一人だということ。そんな想いを抱えてたたずむ様子が思い起こされますね。
引用:https://utaten.com/specialArticle/index/5035
以上、ヨルシカの私的ランキングでした!
ここに挙げた曲は、ランキングという記事にしてしまったので順位をつけましたが、どの曲も甲乙つけがたいほど好きな曲です。
ぜひ試聴してみてください!