宇都宮美術館「ゴッホの跳ね橋と印象派の画家たち」【栃木】

今回、ゴッホの跳ね橋が宇都宮美術館に来るということで、栃木まで行きました。

今年の年初あたりにゴッホの夜のカフェテラスが福島まで来ていたのですが、旅費と天秤にかけて行かない選択をしたのを後悔したので、今回は踏ん張って宇都宮まで足を運びました。

実は6月に行ったので、記事にするのに単位認定試験やらレポート提出やらバイトやらで遅れてしまいました。すみません。

そして、どう考えても福島に行く決断をした方がよかったです。自分の決断力の無さ、そして、行かないという決断した後の後悔で自分の優柔不断さをこれほどかというほど思い知らされました。

幸い、夜のカフェテラスはまだ東京にいますので、今東京まで行くかどうかも考えています。
何度も言いますが、福島まで来ていた時に行けばよかったです…

宇都宮美術館

気を取り直して、今回は初訪問となった宇都宮美術館をご紹介いたします。

その前に、宇都宮といえば餃子が有名ですが、美術館のカフェが激混み&私があまりグルメに興味がない人格&私のお財布事情もあり、今回はグルメレポートはありません。
ごめんなさい。

まず、宇都宮美術館は、うつのみや文化の森という場所にあり、駐車場からは結構歩きます。

◯うつのみや 文化の森
https://u-moa.jp/museum/park.html

都市部からは離れたところにあり、緑がいっぱいでとても静かな場所にあります。
散歩とか、野外で絵を描くにはかなりいい場所で羨ましいなと感じました。

今回はゴッホの企画展ということもあり、駐車場は警備員の人が誘導するくらい混雑していました。

前日は福島市の格安ホテルで1泊しました

ちなみに高速代をケチったので、福島市の格安ホテルで1泊をしてきました。

例え高速を使用したとしても、日帰りは難しいという判断でした。

宇都宮美術館までは、福島市の市街地からは下道でおおよそ3時間30分です。
燃費を伸ばすためにだいぶゆっくりめに走ってきたので、速い人だと混雑状況もありますが3時間もあれば着きそうです。

ちなみに帰りは日光の格安ホテルで1泊しました。
新幹線とか電車で行った方がむしろ安上がりだったのかな?と思ってきましたが、他の場所もよることができたのでよしとします。その時の様子は別で記事にします。乞うご期待!

ちなみに平日の夜ということもあって、福島駅はだいぶ静かでした。

余裕があれば福島の美術館もと思ったのですが、今回の目的はゴッホ展。
とりあえずゴッホ展を見てから次の予定は考えることにしました。

いよいよゴッホ展へ!

宇都宮美術館の入り口です。

私が行った時点で来館4万人を突破したみたいです。みんなゴッホが好きみたい。

美術館自体は古さは感じるものの、自然光の取り方がうまく、すごく落ち着く空間で、とても開放感がありました。

平日ということもあり、そんなに人は多くなく(それなりに混雑をしていましたが、東京開催の有名絵画の時のような混雑はなかったです)、比較的ゆっくりと鑑賞できました。

ちなみにこの特別展の作品たち、ほぼほぼ写真撮影OK、SNSなどへの投稿OKでした!
太っ腹です!!ありがとうございます!

ちなみにちなみに、こういった美術館での鑑賞に限らず、花火やお祭りなどでも、最近は「映える」写真や映像を撮ることに夢中になるあまり、肝心の鑑賞そのものを十分に楽しめていないように見える人をときどき見かけます。私は、やはりその場で自分の目を通して感じる時間を大切にしたい派です。

とはいっても、巨匠たちの現物の絵を見る機会はあまりなく、貴重な絵なので、撮影OKなら撮影はしたいです。

ではどうするか。
自分の場合は、まず1回目は自分の目でじっくり気の赴くまま鑑賞、2回目は写真などを撮影したり、感じたことなどをメモしたりしています。

【アルルの跳ね橋】 フィンセント・ファン・ゴッホ

さて、作品紹介です。

なんといっても今回の目玉はゴッホの跳ね橋です。

おそらく、私が中学生だった時に美術の資料集に載ってたと思います。
ひまわりや星月夜ほどではないですが、割と有名な作品です。

ちなみにこのアルルの跳ね橋もひまわりのように何枚か描いています。

「星月夜」に見られる、渦巻きのような空の表現、「麦畑」の目を刺すような草の表現も好きなのですが、私個人的に一番好きといってもいいのが杉の表現です。

杉といっても日本の杉のようなどっしりとしたような杉ではなく、ゴッホが描いたのはヨーロッパに多い糸杉という少し縦長の杉です。クリスマスツリーをイメージするとわかりやすいかと思います。

この跳ね橋の絵でもそうですが、うねうねしている杉の表現がとてもいいです。特にこの跳ね橋の中の杉は、とても可愛らしく思いませんか?

ゴッホはそのユニークな形と暗い色彩から杉のモチーフを気に入ってたみたいで、ゴッホの風景画には度々登場します。ゴッホが明言しているわけではありませんが、死や葬送を連想させる、とよく解説されることが多いです。

突然ですが、私は遊戯王の神のカードでオベリスクの巨神兵が好きなのですが、ゴッホは杉のことを「エジプトのオベリスクのように美しい」と評価しています。

私とゴッホの間にまさかの「オベリスク」繋がりという共通点ができました笑
一応ソースを貼っておきます。
https://artmuseum.jpn.org/mu_itosugi.html

その他に今回の展示で私が気に入った絵画をいくつかご紹介します。

【ケリュオン、漁婦たち】 ウジェーヌ・ブーダン

空と雲の表現がとても素晴らしい。
私は青空と雲が大好きです。写真に写ったものもいいのですが、やはり、絵画で表現される青空と雲が大好物です。

この絵を描いた「ウジェーヌ・ブーダン」という方を知らなかったので、調べてみるとなんと「空の王者」という異名をお持ちでした。

どうりで惹かれるわけです。

そして、「印象派の先駆者」とも呼ばれ、なんとモネに絵を教えていたこともあるらしい。つまり、あの日本人が大好きなモネの師匠です!

【漁からの帰り】 ウジェーヌ・イサベイ

こちらも雲の表現が好きです。
西日を浴びている雲と砂場の表現、仕事終わりの疲れて帰路につく人たちや談笑する人たちがまさに当時の日常を切り抜いたようで、とても趣がある作品です。

この絵を描いたウジェーヌ・イサベイという画家もパリ出身。このような海岸の風景画を好んで描いていたらしい。

【ヴェルサイユ近郊の工事風景】 フェリックス・イポリート・ラヌー

これぞ当時のヨーロッパの実力派の画家というような圧倒的な画力。

ヴェルサイユといえば連想するのはヴェルサイユ宮殿ですが、この絵は宮殿ではなく、その付近の土木工事の様子が描かれています。

題材となっている風景は、なんの変哲もないただの日常風景ですが、目に留まるのはその圧倒的な画力。

調べてみると、この作品を描いたフェリックス・イポリート・ラヌーという画家は、当時のフランス美術界で高く評価されていた正統派の風景画家でした。

ラヌーは長年にわたってサロンに作品を出品し、1847年には二等メダルを受賞、1861年にもメダル再顕彰を受けています。単に作品が展示されたというだけでなく、当時の公式な美術制度の中で、明確に実力を認められた画家でした。

サロンとは、フランスの王立美術アカデミーに由来し、特に19世紀には国家の権威を背景に開催されていた公式の美術展覧会です。当時の画家にとって、作品を多くの人に見てもらい、社会的な評価を得るための重要な場でした。

サロンでメダルを獲得するためには、高い描写力や構成力だけでなく、アカデミーが重視する完成度や表現の基準を満たす必要がありました。ラヌーは、その正統的な評価基準の中で認められた画家だったといえます。

一方、現在では世界的な巨匠として知られるモネも、若い頃にはサロンへ作品を出品していました。入選して好意的に評価された作品もありましたが、その評価は決して安定したものではありませんでした。

「庭の女たち」や「かささぎ」など、現在では高く評価されている作品もサロンでは落選しています。モネの光や色彩を重視した新しい表現は、当時のサロンが求めていた完成度や描写の基準とは、次第に相いれなくなっていったのでしょう。

しかし、どうでしょう。

フェリックス・イポリット・ラヌーという名前を聞いたことがある人は、少なくとも現在の日本では、それほど多くないと思います。世界的な知名度で比較しても、モネには遠く及ばないでしょう。

当時のサロンでメダルを受賞し、公式の美術界で高く評価されたラヌーが、現在ではあまり広く知られていない。
その一方で、サロンでは評価が安定せず、新しい表現を批判されたモネが、後世には世界的な巨匠として歴史に名を残しています。

もちろん、これは単純に、モネのほうがラヌーよりも絵が上手だったという話ではありません。

その時代に求められる完成度と、後世の美術史を変える革新性は、必ずしも同じものではないのでしょう。
同時代に高く評価された画家が、そのまま後世まで有名になるとは限りません。反対に、当時は理解されにくかった表現が、後になって新しい時代を切り開いたものとして評価されることもあります。

これだから、歴史は面白いんですね。

【シャクナゲの花】 アンリ・ファンタン=ラトゥール

風景画が好きなもので、今までは風景画中心の紹介になってしまい申し訳ございません。

ここでお口直しにお花の絵画です。すごい上品で美しい作品です。

私も絵を描くのでわかるのですが、花の絵を綺麗に描こうとすると、どうしても鮮やかな色で花びらを塗りたくなるものです。

ラトゥールは控えめな色彩を使用しているので、落ち着きがあり、上品さを感じます。
構図でいえば、いわゆる三角構図を採用しており、安定感があるのも静寂さと上品さを感じる理由でしょう。

ラトゥールはマネら印象派の画家と親交はあったみたいですが、古風な写実画を好んで描いたと解説にありました。

【アスパラガスの束】 エドゥアール・マネ

最後は今回の特別展の裏の主人公、マネのアスパラガスの束です。

常人には中々アスパラガスを束で描こうとは思いつきませんが、すごい芸術性です。作品として面白く、アスパラガスが絵画として成立するのはマネほどの才能があるからなのでしょうか。

マネといえば人物画というイメージが強いですが、このような絵も描いていたのですね。

マネの作品で一番有名なのは、「フォリー・ベルジェールのバー」でしょうか。
この1枚でマネの色彩感覚と画力の高さがわかると思います。とても同じ絵を描いた人とは思えません笑

引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%81%AE%E3%83%90%E3%83%BC

余談ですが、この絵には有名なエピソードがありますのでご紹介いたします。

当時、この絵はお金持ちの人に買われました。そして、マネの才能を高く評価したこの購入者は、提示価格よりも高く絵を購入したのです。

そのことにマネは大喜びして、後でその購入者に「束から1本抜けていました」とアスパラガスを1本だけ描いた絵を届けたそうです。

マネの人柄とユーモアがわかる素晴らしいエピソードです。

ちなみに、その購入者に送ったとされる「1本のアスパラガス」は、パリのオルセー美術館に所蔵されているそうです。残念ながら今回は現物を見ることはできなかったです。

エドゥアール・マネ「1本のアスパラガス」 
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Edouard_Manet_-Asparagus-_Google_Art_Project.jpg

さらに補足ですが、マネとモネは名前がよく似ています。
実は、そのことが原因で、実際にちょっとしたトラブルが起きています。

1865年のサロンには二人とも作品を出品していましたが、モネの風景画を見た一部の観客が、マネの作品だと勘違いしてしまったのです。しかも、マネ本人に「すばらしい作品でした」と称賛の言葉をかける人まで現れました。自分が描いていない作品を褒められたマネは、若いモネが自分の名前や知名度を利用しているのではないかと疑い、激怒したと伝えられています。

日本語でも「マネ」と「モネ」は似ていますが、二人の姓の原綴りも「Manet」と「Monet」で、違うのは一文字だけです。むしろ、こちらのほうが紛らわしいかもしれません。

さらに、実際の作品には筆記体で署名されていたため、ぱっと見ただけでは、ますます見分けにくかったでしょう笑

もっとも、その後に誤解は解け、二人は互いに刺激を与え合う親しい画家仲間になりました。

ヴァルラフ=リヒャルツ美術館・コルブー財団

今回の特別展は、ドイツ・ケルン市にあるヴァルラフ= リヒャルツ美術館・コルブー財団の協力で実現したようです。

歴史ある美術館のコレクションから選抜された作品を今回は鑑賞することができました。

つまり、本来であればドイツまで行かないと見ることができない作品なわけで、宇都宮美術館とヴァルラフ= リヒャルツ美術館・コルブー財団には感謝です!

ちなみに今回の特別展の観覧料金は1,200円と超良心的な価格でした!
(私設の美術館であればその2〜3倍の料金であっても不思議ではないです)

今回の特別展の他にも、いろいろな企画展が開催されているようなので、美術好きの方、お近くの方はぜひ宇都宮美術館の最新情報を調べてみてください。

◯宇都宮美術館
https://u-moa.jp/index.html

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