私は小さい頃から人見知りだった。
なので、幼い頃から友達は少なかったし、もちろん外交的な性格でもなかった。
かといって一人でいることは苦痛ではなかった。
むしろ一人の時の方が快適だった。
気が楽だからだ。
それに誰にも自分の邪魔をされず、趣味に没頭できたから。
一人で絵を描いたり、物語をつくったり、本を読んだり…。
とはいえ、友達が少ないことで苦労することもあった。
よくある話だが、体育の時に二人組をつくったり、国語の授業の時の各班での話し合いとか、
遠足の時のお昼とか、そんなのがとても嫌だったのを覚えている。
でも小学生時代は全く友達がいなかったわけではなかったし、なんとかそんな試練?も乗り越えることができた。
一人でいる時間の方が快適だったから友達をつくりたい、と思わなかったのかなとも思う。
思えば、同級生ともあまり共通の話題がなかった。
当時はあまりゲームをやらなかったし、まぁ、親がゲームをやることに否定的だった、というのもあるがクラスで流行っている話題についていけなかった。
当時クラスの間でポケモンが流行していたが、その時はあまりポケモンに興味がなかったので良さがわからなかった。どちらかというと「デジモン」のキャラクターデザインの方が、当時小学1年生くらいだった自分は好みだった。
今思えばデジモンの方が男子小学生受けしやすいデザインだなとは思う。
逆にポケモンはそういう意味ではすごいと思った。
男子小学生からも支持され、女子からもファンがいた。
人類の半分は女性なので、女性にも支持されるコンテンツと男性にのみ支持されるコンテンツでは、当たり前だが女性にも男性にも支持された方が人気が出る。
ポケモンがこれほどまでの大きなコンテンツになった背景のひとつには、このような理由があるのではないかと思う。
話は逸れてしまったが、というわけでその当時の私は社交性は皆無だった。
自分から他人に話しかけることも少なかったし、他人から話しかけられることも少なかった。
話しかけられたとしても共通の話題がないので、当たり障りのない会話をしたりして深い関係になることはなかった。
社交性を勉強させられたのは遊戯王カードを購入したことがきっかけだった。
初代遊戯王の元ネタはマジック・ザ・ギャザリングということは知られているが、当時のカードはイラストもその影響をもろに受けている。
ゆえに、グロテスクなものが多かった。
さらにマジック・ザ・ギャザリングにはない要素としては、エジプト神話の要素があること。
今思えば割と時間をかけてないのだろうなというイラストも多かったが、小学生だった自分には若干グロテスクなイラストが神秘さを感じて好みだった。
当時は縄文遺跡などから昔の人々の生活を想像するなど、考古学的なものにも興味があったので、遊戯王の作品中にエジプトの関連があるのも自分好みだった。
もちろん、カードのパッケージデザインも自分好みだったので、コンビニに行きパッケージを目にする度に気になっていた。
そんなこんなで親にお願いし実際に遊戯王カードを購入した。
感動した。
初代の遊戯王のイラストは自分の好みだった。
初代は中々レアカードが出なく、それだけは残念だったがノーマルカードでもイラストが見るのが好きだった。
今はネットがあるから画像など検索し好きなテイストのイラストを見ることができるが、当時は本くらいで情報を得ることしかできなかった。
なので、今思えば使い回しの背景や少し力を抜いたな、というイラストもあるにはあったが、インスピレーションを受けるには十分だった。
あのゲームをあまりしない私が遊戯王カードを購入したということでクラスでは多少話題になった。
そこで実際に一緒に遊んでみた。
そもそもルールを完全に理解するのには時間がかかったので、最初は一緒に遊びながら細かなルールを指摘してもらった。でも、今思うとその友達も間違っていたルールが多々あったと思うし、私ら周辺だけのローカルルールもあったと思う。
遊戯王のルールを理解するということは、当時の小学生にはそれくらい難解だった。
しかし、いかんせんカードパワーが足りないので、強い友達と遊ぶと全く相手にならなかった。
(強いカードは中々手に入らない=いっぱいパックを購入するか、高いお金でカードショップから購入しなければならない)
そこである日、友達から提案を受けた。
『「スターターボックス」というデッキセットが売ってるから、最初はそれを買った方がいいよ』
そのスターターボックスの魅力はあの「青眼の白龍」が入っていることだ。
通常のパックでは入手困難。
クラスでもパックの青眼を持っているのはお金持ちの友達だけだった。
イラスト違いだとしても、あの青眼が手に入る…。当時とても嬉しかった。
それ抜きにしても汎用的な魔法、罠が手に入るのは私にとってはとてもありがたかった。
デッキ構築に関してもいろんな人からアドバイスをもらった。
やはり初代の遊戯王はパワーバランスが良くなかったので、強いカード(=高額なカード)があれば必然的に強いデッキがつくれた。
そこで、私のクラスではカード交換という文化があった。
同じくらいの価値があるカード同士を交換し、お互い足りないものを補うのだ。
小学生ながら経済の勉強に一役立ったと思う。
でも私はそもそも始めたばかりでカードの種類自体そんなに持っておらず、いわゆる強いカードと交換してもらうことはできなかった。
しかし、レアカード(珍しいカード)が当たった時は
「これとこれを交換しない?」
などと友達に話しかけることができたし、カードがきっかけで友達もできた。
だが私はそんなにカード自体購入してもらえたわけではないので、決して遊戯王のゲームが強いわけではなかった。でも純粋に楽しかった。
遊戯王と出会えてよかったと思う。
趣味のイラストにも大きな影響をもらったと思うし、
何よりも友達も社交性も遊戯王によってつけることができたと思う。
遊戯王を始めていなかったら今頃引きこもりになってたかも知れない。
余談だが、正直今の遊戯王には私としては魅力を感じない。
それは遊戯王原作者の高橋氏が現役を退いたのが原因かも知れない。より子ども向けにターゲティングを変えたのかも知れない。私が大人になったかも知れない。
しかし、今でも遊戯王というコンテンツは好きだし、私の人生に多大な影響を与えたのは変わらない。
死ぬまで遊戯王というコンテンツを楽しんでいこうと思う。
【追記】
2022年7月4日、「遊戯王」の作者である高橋和希さんが亡くなられました。
私の人生を支えてくれた一大コンテンツをこの世に生み出してくれたことを非常に感謝しています。
これからも遊戯王に感謝しつつ、遊戯王というコンテンツを楽しんでいきたいと思います。
心より感謝を申し上げます。
どうぞ、安らかにお眠りください。