ゴッホ展の予約は午後4時からの予定なので、それまで上野公園周辺の美術館を見学しています。
前回まで見てきた場所
https://setsuyaku-kakumei.com/museum-hopping-in-ueno-tokyo-3
- 1 国立西洋美術館
- 2 考える人はいっぱいある?どれが本物?
- 3 国立西洋美術館の常設展で気になった作品
- 3.1 ユベール・ロベール「マルクス・アウレリウス騎馬像、トラヤヌス記念柱、神殿の見える空想のローマ景観」
- 3.2 ヤーコプ・ファン・ロイスダール「樫の森の道」
- 3.3 エドワート・コリール「ヴァニタスー書物と髑髏のある静物」
- 3.4 コルネリス・ド・ヘーム「果物籠のある静物」
- 3.5 ドラクロワ・ウジェーヌ「馬を連れたシリアのアラブ人」
- 3.6 ジャン=バティスト=カミーユ・コロー「ナポリの浜の思い出」
- 3.7 クロード・モネ「並木道(サン=シメオン農場の道)」
- 3.8 クロード・モネ「ラ・ロシュ=ギュイヨンの道」
- 3.9 クロード・モネ「陽を浴びるポプラ並木」
- 3.10 クロード・モネ「セーヌ河の朝」
- 3.11 ジョヴァンニ・セガンティーニ「羊の剪毛」
- 3.12 アクセリ・ガッレン゠カッレラ「ケイテレ湖」
- 3.13 シャイム・スーティン「心を病む女」
国立西洋美術館
ここは何度もお世話になっている美術館です。
大変質の高い作品が展示されている常設展が格安(500円)で閲覧できます。
国立西洋美術館について:
国立西洋美術館は、東京・上野公園にある、西洋美術を専門とする国立美術館です。
1959年、実業家・松方幸次郎がヨーロッパで収集した「松方コレクション」を中心に開館しました。現在では、中世から20世紀にかけての西洋絵画や彫刻など約6,000点を所蔵しています。
常設展では、モネをはじめとする印象派の絵画や、ロダンの彫刻などを見ることができます。特にモネの《睡蓮》や、前庭にあるロダンの《考える人》は、この美術館を代表する作品です。
そして、この美術館は展示作品だけでなく、建物そのものも大きな見どころです。本館を設計したのは、20世紀を代表する建築家ル・コルビュジエ。2016年には「ル・コルビュジエの建築作品」の一つとして世界文化遺産に登録されました。
つまり国立西洋美術館は、西洋美術の名作を見るだけでなく、世界遺産の建築そのものを体験できる美術館でもあります。
考える人はいっぱいある?どれが本物?
言わずと知れた「考える人」です。
でもこれは拡大版です。

《考える人》は、もともとロダンの大作《地獄の門》の一部として制作された人物像です。のちに単独の作品として独立し、さらに拡大版もつくられました。
では、国立西洋美術館の前庭にあるこの拡大版は「偽物」なのでしょうか?
実は、れっきとした本物です。
その理由は、ブロンズ彫刻が「鋳造」によってつくられるからです。油絵のように作者が一枚の画面へ直接描くのとは異なり、ブロンズ彫刻は原型から型を取り、そこへ金属を流し込むことで、同じ原型から複数の作品をつくることができます。
しかし、際限なく鋳造できてしまうと、何を「オリジナル」と呼ぶのか分からなくなってしまいます。とくに作者の死後では、仕上がりが本人の意図どおりかを確認することもできません。
そこでロダンの作品は、現在フランス国家のもとで管理され、原型や型はロダン美術館が保管しています。正規のブロンズ鋳造についても厳しく管理されており、現在の制度では通常8体に作家用4体を加えた、最大12体までがオリジナル作品として扱われます。
つまり、ブロンズ彫刻の世界では、
「本物=世界に一つしかない」
とは限らないのです。
同じ原型からつくられた複数の作品が、それぞれ正規の「オリジナル」として存在することがあります。
国立西洋美術館の《考える人(拡大作)》も、1926年に正規に鋳造された作品で、間違いなく本物です。
絵画とは少し違う、「彫刻における本物とは何か」を考えさせられる作品でもあります。
ちなみにその《地獄の門》も少し離れた場所にあります。

参考:https://go-to-museums.com/post-1965-1965
国立西洋美術館の常設展で気になった作品
では、国立西洋美術館の常設展で気になった作品をピックアップしてご紹介いたします。
ユベール・ロベール「マルクス・アウレリウス騎馬像、トラヤヌス記念柱、神殿の見える空想のローマ景観」

https://search.artmuseums.go.jp/records.php?sakuhin=100351
古代ローマの風景と陽が沈む頃合いの空が綺麗な作品です。
ヤーコプ・ファン・ロイスダール「樫の森の道」

https://search.artmuseums.go.jp/records.php?sakuhin=100421
形が面白い木が最初に目に留まります。森は薄暗いですが、轍に幾分か陽が差しており、視線がそこに誘導されるようになっています。よく見るとその轍を歩く2人の人の後ろ姿が見えます。
エドワート・コリール「ヴァニタスー書物と髑髏のある静物」

https://search.artmuseums.go.jp/records.php?sakuhin=100091
この絵はヴァニタス画といい、人生の儚さや諸行無常を描いている作品です。
髑髏は「死」、砂時計や時計は「過ぎていく時間」、火が消えたばかりの蝋燭は「いつか終わる生命」を象徴しています。
さらに、財布は「富」、書物は「知識や学問」、楽器は「娯楽や楽しみ」を表します。
どれだけお金や知識を手に入れ、人生を楽しんだとしても、それらは永遠には続かず、最後には誰にでも死が訪れるというわけです。
そういった人生の儚さを描いた作品です。
コルネリス・ド・ヘーム「果物籠のある静物」

https://search.artmuseums.go.jp/records.php?sakuhin=100213
1654年頃の作品と言われていますが、ものすごい写実力。
果物の水々しさがこれでもかというほど伝わってきます。
昔の画家の技術の高さが窺えます。
ドラクロワ・ウジェーヌ「馬を連れたシリアのアラブ人」

https://search.artmuseums.go.jp/records.php?sakuhin=191492
なんか馬が不気味で、独特の雰囲気を醸し出している作品です。
画家のドラクロワが中東や北アフリカなどの異文化に強い憧れや関心があり、現地に行って描いたのではなく、想像で描いたと言われています。
ジャン=バティスト=カミーユ・コロー「ナポリの浜の思い出」

https://search.artmuseums.go.jp/records.php?sakuhin=100093
「思い出」と題名にもついているように、過去の記憶を美化して描いているのだと思います。
色使いが優しい作品です。
クロード・モネ「並木道(サン=シメオン農場の道)」

https://search.artmuseums.go.jp/records.php?sakuhin=100282
モネらしくはない作品ですが、どうやら初期の作品らしい。
全体的に暗いのでモネらしくはないのですが、木漏れ日の表現はモネらしい表現。
クロード・モネ「ラ・ロシュ=ギュイヨンの道」

https://search.artmuseums.go.jp/records.php?sakuhin=100284
いかにもモネらしい作品。
とても優しく、明るい作品。
クロード・モネ「陽を浴びるポプラ並木」

https://search.artmuseums.go.jp/records.php?sakuhin=100287
3本のポプラの木の構図が面白い。構成は単純でありながら、良いリズムを出しています。
クロード・モネ「セーヌ河の朝」

https://search.artmuseums.go.jp/records.php?sakuhin=100289
この空気感を描かせたらモネの右に出る人はいない。
霧がかった川の湿気った雰囲気や光の表現が画面を超えて伝わってきます。
ジョヴァンニ・セガンティーニ「羊の剪毛」

https://search.artmuseums.go.jp/records.php?sakuhin=180419
日常の作業風景なのですが、すごい平和な感じがして好きな作品です。ちょっと作品の中の世界に行ってみたいです。
アクセリ・ガッレン゠カッレラ「ケイテレ湖」

https://search.artmuseums.go.jp/records.php?sakuhin=200288#
湖を描いた作品ですが、水の表現が素晴らしい。独特の躍動感があり、一見静かな湖面に見えるが、絵にはリズムが生まれています。
シャイム・スーティン「心を病む女」
https://collection.nmwa.go.jp/P.1960-0001.html
※引用できる画像がなかったため、リンクよりご覧ください。
パッとみて「この人は病んでいるんだな」と感じさせる作品です。
赤い服と荒々しい筆跡が強烈な印象を与えてくれます。
ということで、国立西洋美術館の常設展も楽しんで見ることができました。
特に今回は、国立西洋美術館で所蔵しているモネの作品を全て展示していて、とても貴重な機会でした。
次回はいよいよゴッホ展です!